通勤ライダーの小さな旅 with アクシスZ

ヤマハの原付二種スクーター「アクシスZ」と共に日々を旅する

田舎の恐怖 散歩的ツーリングが林道走破になった

長年乗っていた HONDA TODAY 50 を廃車にして、簡単には言葉にできない感慨を覚えて私は、現在のアクシスZにまたがり、近所に散歩的なツーリングにでかけることにした。

 

甘いものでも買っちまおうかと、国道沿いのコンビニに寄ろうと思っていたが、より空いている農道を選んだため、買い物はできなくなってしまった。これがその後、不安の陰を落とすとも知らずに。

 

地方テレビ局の電波塔のある山をバイクで登り、山の尾根を走る保守管理用の車両などが通行する道を通って隣町へ抜ける。そこから折り返して帰ってくるというルート。この道は何度も通っているので、迷うことはない。アクシスZで行く散歩道だ。何の不安もないーーそのはずだった……。

 

しかし、今日は様子が違った。先の台風で道路脇の木々は折れ、片側通行禁止の規制が続く。そして、とうとう鎖による閉鎖とともに「立入禁止」の表示が現れたのだ。

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いつもは景色を見ることもなく通過している場所。しかし、スクーターを停めてまわりを見渡すと開けた場所があった。そこからの景色はなかなかのもの。つまり、まだまだ深い山のなかにいるということだ。

引き返そうと思ったが、下に行く迂回路があったので、それを通ってみることにした。初めての道である。というより、そんな道があるのを今日、知った。

 

不案内な道を進んでいく。そのうち路上に落ち葉は増え、枯れ枝が増え、今日どころか、少なくともここ数日、誰も使っていないような道に入ってしまった。舗装がひび割れて時々、段差がタイヤを噛んだりする。アクセルを緩めていくよりほかになかった。

 

だんだん不安になってくる。ガソリンは満タン。オイル交換もしている。アクシスZのエンジンが簡単に止まるようなことはないだろう。

 

しかし、枝が刺さったり、段差に当たったりしてタイヤがパンクするのは絶対にないとは言えない。スペアタイヤを積んでるわけではなし、ノーパンク加工されたタイヤでもない。

 

ここでパンクしたら、どこだと言って場所を教えればいいのか。アプリを使えばGPSで座標がわかるし、道も分かるかも。そう考えながら、ハンドル近くのフォルダにつけていたiPhoneの画面を見た。電波がなかった。このあたりでいちばんエリアの広いキャリアを選んでいるのだが、この林道まで4Gのアンテナは敷設されていないようだ。

 

折れた枝を踏まないようにノロノロと進む。道は山の北側にさしかかり急激に冷えてきた。もう9月も後半。山の季節はもう秋本番だ。そういえば、栗が落ちていた場所もあったな……。

 

もう写真を撮る精神的な余裕はなくなっていた。早くこの山を抜けたい。

 

と、そこに追い打ちをかけるようにまたしても通行止めの表示が。今度も別の道路がすぐ下にあったが、やけに細い。不安が高まる。しかし、標識がついていた「●●公園」と。公園があるなら、もっと広い道と繋がっているだろう。

 

信じて走る。不安はあるが、方向感覚は失っていない。パニックに陥っているわけでもない。時間はまだ16時。来た道を引き返すことになっても日没には間に合う。

 

考えながら走っていると、公園とおぼしき場所へ出た。広々としている。

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太陽が顔をみせた。なんだまだまだ昼間じゃないか。人っ子一人いない公園は寂しいといえばさみしい景色だったが、山のなかよりはずいぶんましだった。

 

それからほどなく、大きな道をみつけて、私は家に帰ることができた。

 

今日は大きな危険に遭遇したわけではない。しかし、幾つか迂闊な点が私にはあった。

 

  1. 近所だからといって何の下調べもせずに山に出かけたこと
  2. 家人に行き先を詳しく告げずにでかけたこと
  3. 山に行くのに非常食や携帯用のライトを用意していなかったこと
  4. スクーターにパンク修理キットを入れていないこと
  5. スクーターにiPhone充電用のセットを入れていなかったこと
  6. 知らない道なのに引き返さず、突き進んでしまったこと

散歩としては問題なかったと思うが、山歩きとしては正直、0点だ。

 

田舎は恐ろしい。散歩するだけでも生命を落とすことはあるのだ。

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